選択的シングルマザーとは、自分の意志でシングルマザーになることを決意した女性のことですが、日本ではまだ選択的シングルマザーの数は多くありません。
芸能界では、浜崎あゆみさんや道端カレンさんが選択的シングルマザーとして子どもを出産したため、選択的シングルマザーという言葉を耳にしたことがあるかもしれませんね。
今回の記事では、選択的シングルマザーとして生きる道を選ぶ女性が増えてきた理由や、選択的シングルマザーを選ぶ理由に迫っていきます。
選択的シングルマザーとは?
選択的シングルマザーとは、自らの意思で結婚をせずに妊娠・出産をして子どもを育てている人たちのことです。

未婚のシングルマザーも選択的シングルマザーのようではありますが、未婚シングルマザーの場合は、なりたくてなったわけではないという方も多いです。
ですから、今回お伝えしていく選択的シングルマザーには、未婚シングルマザーを当てはめずに話を進めていきます。
選択的シングルマザーとして生きる理由
選択的シングルマザーとして生きる理由はさまざまですが、一般的な理由は下記の4つのようです。
- 結婚に否定的
- 性的マイノリティである
- 男性恐怖症である
- 出産のタイムリミットが迫っている
結婚に否定的
結婚には法的に多くのメリットがありますが、他人と家族になり生活していくことは簡単なことではありません。
お互いのことを理解し、協力し合い、尊重できる間柄でなけでば夫婦生活は長く続かないでしょう。

金銭のトラブルや不倫などの裏切り、暴力などで辛いことを経験する人も多いため、結婚後に否定的な考えを持つ人は少なくないようです。
ですから結婚という制度に憧れを抱けずに、独身を貫きたいという気持ちの方や、中には「結婚しなくても子どもが欲しい」という考えの方もいらっしゃいます。
そのような考えの方は、選択的シングルマザーとして生きるケースもあるのです。
性的マイノリティである
性的マイノリティである場合も、選択的シングルマザーとして生きる理由になるでしょう。
性的マイノリティとは、同性に恋愛感情をもつ人や、自分の性に違和感がある人などのことを指します。
近年では、同性同士のカップルやアセクシャル(無性愛者)であることから結婚はせず、子どもだけを育てたいと希望する方もいらっしゃいます。
とはいえ2022年現在、日本ではまだ同性婚が認められておりません。

私の知人に同性同士のカップルがいますが、パートナーシップ証明という形で共に生きて行く決意をしたようです。
男性恐怖症である
男性恐怖症とは、主に下記の症状が当てはまります。
- 男性に触れられると強い不安を感じる
- 男性に触れられると体が震える
- 男性といると動悸が激しくなる
- 男性と話すとひどく赤面する
- 男性と一緒にいることに耐えられない
- 男性と目を合わせられない
など
性的虐待の経験・父親からの暴力・学校生活の中で男子生徒からいじめられた経験があるなど、男性に対するトラウマから、男性恐怖症になってしまうケースがあります。
出産のタイムリミットが迫っている
年齢や病気を理由に、出産のタイムリミットを感じて子どもを早く授かりたいと考える人もいます。
しかし、結婚をしていない独身女性の場合は、残念ながら不妊治療の対象とならないことが多いのが問題点です。

選択的シングルマザーに限らず、出産のタイムリミットが迫ってたり今までずっと子どもができなかった場合、子どもができたらラッキーと思う女性は多いようです。
未婚シングルマザーの中でも、40歳くらいの年齢で奇跡的に(子どもができにくかったのに)子どもができたという女性の話を数名から聞いたことがあります。

そのようなケースでは、結婚ができなくてもシングルマザーになる覚悟をして産み、その後子どもと幸せに暮らしているという話を聞きますね。
選択的シングルマザーになるために必要な条件
選択的シングルマザーになるには、下記の条件が必須です。
- 経済的自立
- 精神的自立
- 計画性

「子どもが欲しい」という気持ちだけでは、なかなか選択的シングルマザーとして生きることは難しいでしょう。さまざまな面で自立していることがまず基本となります。
経済的自立

選択的シングルマザーになるためには、1人でも子どもを養っていけるような経済的自立が必要です。
妊娠・出産の際には働けない期間もでてきますから、ある程度の貯金も必要になります。
また、妊活の方法によっては不妊治療や海外の精子バンクの使用などで、妊娠前から多額のお金がかかることもあります。
精神的自立
選択的シングルマザーになるためには、強い意思を持ち、孤独な妊婦期間や出産、育児を乗り越えられる自立した強い精神力が必要です。
妊娠中は誰でも精神的に不安になることがありますが、人によっては覚悟をした上でも「この選択でよかったのか」「1人で育てられるだろうか」と不安になることもあるでしょう。

選択的シングルマザーになるのならば、自分の選択に自信を持って生きる覚悟が人一倍必要です。家族や友人などで理解者がいると心強いでしょう。
また、子どもに依存してしまうのも問題なので、親として子どもを自立させるためのサポートをしっかりしていくために自分自身も自立した人間になる必要があります。
計画性

選択的シングルマザーは、基本的に育児も仕事も家事も1人で背負わなければいけない生活になります。
ですから、妊娠中から必要なお金についてきちんと計算し、仕事の内容や業務時間などの調整なども行う必要があるのです。
また、妊活の際にはパートナーと十分に話し合い、子どもとはどのような関係性を築いていくのかしっかりと話し合っておく必要があります。
選択的シングルマザーになる方法
選択的シングルマザーになるためには幾つかの方法があります。
- 結婚しない条件で妊活をする
- 海外の精子バンクを利用する
- 民間の精子バンクを利用する
- 個人間でのやりとり
- 普通養子縁組
結婚しない条件で妊活をする
結婚しない条件で妊活をして選択的シングルマザーになるためには、結婚を前提にしない恋人などのパートナーに協力してもらう必要があります。
お互い合意した上で子づくりをしたとしても結婚をしないため、パートナーが認知をしてくれない場合は、法的に親子関係が認められません。

後から揉めないためにも、子どもの認知・養育費・面会交流のことは事前に話し合っておくことが必須です。
海外の精子バンクを利用する
海外の精子バンクでは、精子ドナーには身長や学歴の最低条件があるそうです。
精子ドナーになれる人の条件は厳しく、伝染病の検査や、家族の病歴のチェックを受ける必要があります。

そのため、精子提供を希望する人の1%しか精子ドナーになれないそうです。
気になる海外の精子バンクの価格ですが、世界最大の精子バンクである、クリオス・インターナショナルを例にだしてみましょう。
クリオス・インターナショナルの精子バンクの利用にかかる費用は、さまざまな要素によって変動するそうです。

HPで調べてみたところ、ドナーのプロフィールタイプや、身元開示の有無、精子の質などにより、8万円~23万円の幅がありました。
クリオス・インターナショナルHP:https://www.cryosinternational.com
民間の精子バンクを利用する
民間で始めて設立された『みらい生命研究所』では、安全性の高い精子を提供することを目的に活動を行っているようです。

みらい生命研究所の代表者である岡田弘先生は、後程ご説明する、『個人間でのやりとり』の問題点にも目を向けていらっしゃる先生です。男性不妊の研究を約40年続ける先駆者としても有名なようです。
ドナー提供者にも条件を設けております。
- 年齢は20歳~40歳
- 医療従事者、または医療機関の関係者
- 喫煙歴がない、又は過去3ヶ月喫煙していない
- 既婚者は配偶者の承諾が必要

精子提供者や精子の品質管理はしっかりされているようなので、個人間でのやりとりよりも確実に安心して利用できそうですね。
個人間でのやりとり
個人間での精子提供は法律上の規制がありません。
ですから、SNSなどを使った個人間でのやりとりでも、精子提供を行うことが可能なのです。

しかし、登録情報に虚偽があったり、ホテルに連れ込まれ危険な思いしてしまこともあり得るので注意が必要です。
奥さんと子どもがいるにも関わらず、選択的シングルマザーに精子提供をしている男性も実際にいるようです。
しかも奥さんや子どもにはその事実を話さずに行っているケースもあるため、将来子どもが父親に会いたいといった時にスムーズに会うことができないケースも考えられます。

個人間のやりとりから産まれた子どもの立場では、「父親が誰だかわからない上に会うこともできない」という事実を受け入れられずに傷ついてしまうことも考えられます。
普通養子縁組
養子縁組は、「普通養子縁組」と「特別養子縁組」があるのをご存じでしょうか。
- 普通養子縁組:養子になっても実父母との親族関係は残る。戸籍に実親の名前が記載され、養親と養子の続柄は「養子又は養女と記される。
- 特別養子縁組:養子になると実父母との親族関係はなくなる。戸籍に実親の名前が記載されることはなく、養親と養子の続柄は「長男」「長女」などのように実子同様に記載される。
選択的シングルマザーの場合は、特別養子縁組は認められませんが、普通養子縁組は可能です。
選択的シングルマザーはポジティブな女性が多いって本当?
選択的シングルマザーは、明るくてポジティブで行動的な女性が多い印象があります。
例えば選択的シングルマザーで有名な、浜崎あゆみさんや道端カレンさんは、子どもを育てながらでも仕事をバリバリしているようです。

お2人のことはメディアを通してしかわかりませんが、明るくて強くてパワフルな印象があります。シングルマザーでありながらも女性としての美しさを維持していることも尊敬しますね。
選択的シングルマザーとして生きていく上での問題点
選択的シングルマザーは、戸籍制度を重んじる日本人からはまだ理解されていない部分が多いのが現状です。
海外では精子バンクや里親制度なども比較的受け入れられているようですが、日本では海外ほど受け入れられているようには感じられません。
そして1番の問題点は、子どもの気持ちではないでしょうか。
選択的シングルマザーの場合は、自分の意思で結婚せず父親という存在をつくらない選択をできます。
しかし、子どもは自分の意思で父親がいる・いないという状況を選べません。
選択的シングルマザーから産まれた子は、将来的に自分が産まれた理由や父親のことをどう思うでしょうか。

その辺のこともしっかり考え、子どもが疑問を持った時には子どもを傷つけずに説明できるように準備しておくことも必要でしょう。
まとめ
選択的シングルマザーは、まだまだ偏見も多く理解されないことも多いでしょう。
しかし、選択的シングルマザーとして生きることを選択した女性たちは、大きな責任感と覚悟を持って生きているように感じます。
なぜなら、選択的シングルマザーは過去に旦那さんやパートナーがいたシングルマザーとは違い、最初から自分1人で育てていく覚悟を持っているからです。

日本も海外同様に、それぞれの生き方を尊重される国になっていくことを願います。そして世間体なども気にせず自分の選択に自信を持って、幸せに過ごせる人が増えたら素敵ですよね。