非嫡出子とは?デメリットと父親に認知してもらう方法を解説

非嫡出子の新生児
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非嫡出子という言葉をご存じでしょうか?

未婚の母になると、非嫡出子という言葉を耳にする機会があるかもしれませんね。

  • 非嫡出子とはどんな子どものことを指すの?
  • 非嫡出子でいるデメリットは?
  • 非嫡出子はどのように認知をしてもらうことができるの?

今回は未婚の母である私が、非嫡出子に関してご説明をし、父親に認知してもらう方法を実体験をもとにお伝えしていきます。

目次

非嫡出子とは?

非嫡出子(ひちゃくしゅつし)とは、婚姻関係のない男女の間に産まれた子どものことです。

  • 嫡出子:婚姻関係になる男女の間に授かった子ども。認知の手続きは必要ない
  • 非嫡出子:姻関関係のない男女の間に授かった子ども。子父が認知をしなければ親子関係が認められない

未婚の母から産まれてくる子どもは全員非嫡出子に当たるので、子の父親に認知をしてもらう手続きが必要となります。

非嫡出子であることのデメリット

非嫡出子であることで考えられる主なデメリットは下記の3つ。

  1. 子どもの戸籍に父親の名前が明記されない
  2. 養育費の請求ができない
  3. 父親の財産を相続する権利を与えられない

人それぞれの状況や考え方で、非嫡出子であるのデメリットは変わってくると思うので、参考程度に把握しておいてください。

子どもの戸籍に父親の名前が明記されない

非嫡出子であると、戸籍の父親欄が空白になってしまいます。

戸籍は普段目にする機会はありませんが、子どもが大人になり、結婚する際などには目にすることになるでしょう。

戸籍の父親欄が空白であることは子どもにとって、どんな影響を及ぼすかはその時にならなければわかりませんが「父親が私の存在を認めてくれなかったんだ…」と自己否定に走る可能性がゼロではありません。

自分が産まれてきたことを自己否定しないように育てていくことは重要になります。

養育費の請求ができない

非嫡出子である限りは、父親に対して養育費の請求ができません。

「認知をしない代わりに養育費は支払う」などという約束をしない限り、法律上父親に養育費を請求する権利が与えられないのです。

父親の財産を相続する権利を与えられない

非嫡出子は、父親の財産も相続する権利を与えられません。

父親に財産がなければあまり気にする内容ではないかもしれませんが、「父親の財産を子どもに相続をさせたい」と考えている場合は父親に認知をしてもらうことが必須となります。

認知をしてもらうと負債を相続することにはなりますが、相続人放棄手続きで負債の支払い義務を回避することは可能です。

非嫡出子が父親に認知をしてもらう方法

認知とは、未婚の状態の母親から生まれて来た非嫡出子に対して、子の父親が血縁上の親子関係を認める概念のことを指します。

非嫡出子が父親に認知をしてもらう方法は、下記の2つ。

認知の方法
  1. 任意認知(認知届による認知・胎児認知・遺言による認知)
  2. 強制認知(裁判認知)

任意認知は、子の父親自ら父親であることを受け入れてくれる方法です。

強制認知は、子の父親が認知を拒否する場合など、家庭裁判を通して認知をさせる方法になります。

認知をしてもらうメリット・デメリットに関する記事は、下記の記事をお読みください。

任意認知

任意認知とは、子の父親が自ら子の父親であることを認めた上で届出、又は遺言によってする認知をすることです。

任意認知について
  • 認知届は、子の父親または子どもの本籍地・住所地のいずれかの市区町村役場で届け出ることが可能。
  • 任意認知は胎児でも認知が出来るが、母の承諾が必須。(胎児認知)
  • 生前には認知ができない事情がある場合、遺言で任意認知を行うことは可能。

任意認知は、胎児の時期からしてもらうことは可能ですが、子が成人してから認知をする場合は子の同意がなければ認知することはできなくなります

胎児認知のメリット・デメリットは下記の記事を参考にして下さい。

強制認知

強制認知とは、父親が任意認知をしてくれない場合に、子や母親が裁判所を通して強制的に認知させることをいいます。

ですから強制認知、又は裁判認知といわれるのです。

強制認知について
  • 強制認知は、家庭裁判所に認知調停を申し立てる必要がある
  • 調停が不成立となった場合には、再度裁判所に訴えを起こすことが可能
  • 最終的にはDNA鑑定などを行い、DNA鑑定等を行い親子関係を科学的に証明した上で裁判所が判断を下す

子の父親が認知や養育費の支払いから逃げて話し合いにも応じてくれない場合は、強制認知を行い責任を取ってもらうことができます。

任意認知をしてもらう方法

次に、任意認知をしてもらう3つの方法をご説明していきます。

認知の方法
  1. 認知届による認知
  2. 胎児認知
  3. 遺言による認知

それぞれの手続き方法をご説明していきます。

認知届による任意認知

認知届による任意認知の特徴
  • 任意認知は子の認知をする父親が申し出る必要がある
  • 母親の同意は不要
  • 届出先は父親か子の本籍地、又は父親の所在地の市区町村役場

必要書類は下記になります。

必要書類
  • 認知届:市区町村役場にある用紙を利用
  • 子の承諾書:子が成人している場合のみ必要(認知届の「その他欄」に記載でも可)
  • 印鑑:認知届をする父親の印鑑
  • 父親の身分証明書:顔写真付き免許証やパスポートなど
  • 父、子の戸籍謄本各1部:本籍地以外で認知届を提出する場合に必要

胎児認知

胎児認知の特徴
  • 胎児認知は父親が申し出る必要がある
  • 母親の同意が必須
  • 届出先は母の本籍地の市区町村役場

必要書類は下記になります。

必要書類
  • 認知届:市区町村役場にある用紙を利用
  • 母の承諾書:認知届の「その他欄」に記載でも可能
  • 印鑑:認知届をする父親の印鑑
  • 父親の身分証明書:顔写真付き免許証やパスポートなど
  • 父、子の戸籍謄本各1部:本籍地以外で認知届を提出する場合に必要

遺言による任意認知

遺言による任意認知の特徴
  • 父親の死後に父子関係が発生するため法的な扶養義務はない
  • 認知された子どもは父親の法定相続人になる

遺言で子どもを認知する際は、遺言書に下記の事項を記載する必要があります。

遺言書に記載する内容
  • 子どもを認知する旨
  • 子どもの母親
  • 子どもの住所・氏名・生年月日・本籍・戸籍筆頭者

※認知届を提出する必要があるため、遺言執行者の指定が必要

強制認知を求める方法

子の父親が任意認知をしてくれない場合は、裁判所を通して強制認知をしてもらいましょう。

強制認知の方法

任意認知をしてくれなかった場合は、残念ながら調停で話し合っても解決出来ないケースが多いです。

とはいえ、原則として裁判よりも先に調停を申し立てなければいけないので、強制認知は下記の手順で行う必要があります。

強制認知をしてもらうまでの手順
  1. 認知調停の申し立て
  2. 調停が不成立の場合は裁判所へ再度認知の訴え
  3. DNA鑑定(DNA鑑定で親子関係が証明されると任意で認知してもらえる可能性もあり)
  4. 裁判所の判決:強制認知(DNA鑑定で親子関係が証明ができても父親が認知を拒否した場合など)

通常家庭裁判所に対して認知調停の申立をする必要がありますが、父親が死亡した後の認知については調停を経ずに訴訟をすることができます。

認知調停の申し立て

認知調停の申し立て方
  • 子・子の直系卑属・子又は子の直系卑属の法定代理人が申し立てる
  • 相手方の住所地を管轄する家庭裁判所、又は当事者が合意で定める家庭裁判所に申し立てる

直系尊属とは、父母・祖父母など自分より前の世代で、直通する系統の親族のことです。

認知調停の申し立てに必要な書類
  • 申立書1通
  • 申立人、相手方、及び子の戸籍記載事項全部証明書(戸籍謄本)

※ 裁判所から、他にも書類等の提出を求められる場合があります

認知調停の申し立てに必要な費用
  • 収入印紙1,200円
  • 郵便切手代

※裁判所により金額が違うことがるので、申立をする裁判所に確認して下さい

認知調停に関することをより詳しく知りたい方は、下記の記事をお読みください。

DNA鑑定

子の父親が認知をしたくないがために「自分の子供かわからないから認知は出来ない」といい、認知をしてもらえないケースも多いようです。

そういった場合には、親子関係を明らかにするため裁判所を通してDNA鑑定を行う必要があります。

DNA鑑定に関しては基本的に認知調停の最中に行われますが、子の父親がDNA鑑定を拒否した場合などは、調停の後の認知の訴えの最中にDNA鑑定が行われます。

DNA鑑定費用は原則申立人(女性側)が負担します。

私は、相手の都合でDNA鑑定するのだから「費用は出して欲しい」という主張を最後まで通しました。その結果、全額支払ってもらうことはできませんでしたが、半分の金額を支払ってもらうことができました。

認知の訴えを起こす

相手がどうしても認知をしたくないと言い張り、調停が不成立になった場合は最終手段として裁判所へ認知を訴えを起こします。

  • 「俺は無関係だからDNA鑑定はしない」と拒否された
  • DNA鑑定で親子関係が証明できたのに「結果を信じられないから認知はしない」といわれた
  • 調停に出席すらしてくれない

など、最後まで父親の責任から逃げようとする男性相手には認知の訴えを起こすしかありません。

ですが、この段階まで進むと裁判所の判決により認知の効力を発生させて強制認知が成立するのです。

ただし認知の訴えを起こすには、法的知識が不可欠になります。

全て自分で行った場合の費用は印紙代等2万円程度で出来ますが、弁護士に依頼して手続きを代理してもらうのが現実的でしょう。

弁護士に依頼する場合は着手金として30万円程度、成功報酬として30万円程度はかかることが多いようです。

まとめ

非嫡出子であり続けることで、経済的、そして精神的なデメリットを子どもに与えてしまう可能性はあります。

子どもにとってどの選択が最善なのか、子父にどのような対応をしてもらいたいかをしっかりと考え、非嫡出子である子どもを子父に認知してもらうかどうかを考えていきましょう。

どの選択をしたとしても、ご自分が納得できるように動いていきましょう。そしてなによりも子どもに寂しい思いや辛い思いをさせないような選択をしていくことも大切になります。

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